10/14/2025

NYの街角で漫画と出会う『KODANSHA HOUSE』へ行ってきました!


我々日本人にとって、漫画は子どものころから身近にある日常の文化のひとつ。
でも、その漫画が世界ではどれほど高く評価され、愛されているのかを実感する機会は、意外と少ないかもしれません。
そんな日本発のカルチャーが、アートとして、そして体験として世界に発信されているのが ここ、ニューヨーク・ソーホーの一角に、突如現れた「KODANSHA HOUSE」。


講談社による没入型ポップアップイベント「KODANSHA HOUSE」は10月4日から19日までニューヨークのSoHoにて開催されています。マンガがアートやカルチャーとしてどのように世界に浸透しているのか、NYのど真ん中で感じてきました。


『世界中のファンを魅了する漫画の力』

「AKIRA」「美少女戦士セーラームーン」「攻殻機動隊」「進撃の巨人」「ブルーロック」など
日本を代表する名作の多くを生み出してきた講談社。その創造力と文化的背景を、展示や演出を通して直接感じることができます。


『注目のブース』
進撃の巨人

1階の展示の目玉は、今や世界中で人気を誇る『進撃の巨人』のジオラマ。
壁に囲まれた街並みが細部まで再現されていて、まるで物語の世界に迷い込んだような没入感。来場者は巨人になれる気分を味わえ、夢中で写真を撮る姿が印象的でした。



攻殻機動隊 × HERALBONY:多様性が描く未来のアート

その奥には、攻殻機動隊 SAC_2045とHERALBONYのコラボ展示
HERALBONY(ヘラルボニー)とは、「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、福祉施設に所属する障害のあるアーティストたちとともに、アートを通して社会に新しい価値観を提示する岩手県発のアートライフスタイルブランドです。独創的な線や色彩で描かれる作品は、国内外で高く評価され、ファッションや建築、プロダクトなど多様な領域でコラボレーションを展開しています。

今回の展示では、講談社の10色あるコーポレートカラーそれぞれに1人のアーティストをフィーチャーし、そのアートで『攻殻機動隊 SAC_2045』のキャラクター「タチコマ」を彩りました。障害のあるアーティストたちの感性が吹き込まれたタチコマは、どれも個性豊かで、同じキャラクターでありながらまったく異なる表情を見せています。無機質な金属ボディに、鮮やかな筆致や柔らかな色彩が加わることで、まるで命を宿したような存在感が生まれています。

この展示は、多様性と創造性をテーマにしたHERALBONYの理念と、攻殻機動隊が描く未来社会のビジョンが交差する場所でもあります。アートとしての完成度の高さだけでなく、テクノロジーと人間、個性と共生という現代的なテーマを体感できる空間として、訪れる人々の足を自然と止めていました。





ブルーロック

トンネル状の背景に、各キャラクターがフロー状態に入った瞬間の専用カラーが投影されます。来場者は天井から吊り下げられたボールを使って推しキャラのシュートを再現。
まるで自分自身がブルーロックの一員になったような没入体験が楽しめます。


『読む、語る、くつろぐ KODANSHA HOUSEの楽しみ方。』

今回、森下Suu先生とご一緒する機会があり、KODANSHA HOUSEを訪問しながら、NYという街で日本の漫画がどのように受け入れられているのかを間近で感じる貴重な時間となりました。

展示では『A Sign of Affection(ゆびさきと恋々)』の英語版が紹介され、とても印象的でした。
静かな恋愛の世界を描くこの作品が、喧騒の街・ニューヨークで紹介されていることに、言葉や国境を越えて、漫画が言語を超えて心をつなぐ存在であることを改めて実感させてくれました。


もちろん、A Sign of Affection (ゆびさきと恋々)も読むことができます!


ラウンジスペースには、天井から漫画のコマが吊るされているインスタレーション。訪れた人がくつろぎながら漫画文化を感じられる空間になっており、まるでSoHoの中に現れた小さな漫画図書館のようです。さらに、館内にはカフェとラウンジスペースなども併設されており、抹茶やコーヒーを片手に、英語版コミックスを自由に読むことができます。



お土産コーナーでは、イベント限定のグッズや人気作品の英語版コミックスが並んでおります

『地下に広がる、昭和レトロとポップカルチャーの融合』

さらに、地下へ降りると、壁一面に貼られた昭和レトロな漫画ポスターが目に飛び込んできます。光るネオンがフォトスポットのように映え、懐かしさと新しさが共存する不思議な空間でした。ここでは来場者が自由にくつろぎ、作品の余韻に浸ることができます。



古い広告デザインや昭和のタイポグラフィが再構築され、どこか懐かしいのに新しい。
日本のサブカルチャーが、いまNYの若い世代の間でクールなカルチャーとして再評価されている流れを象徴していました。



ゲーム機やガチャガチャ、イベントスペースなども設けられております。


また、ポップアップ期間中は『炎炎ノ消防隊』の大久保篤氏、『ヲタクに恋は難しい』のふじた氏、そして『ゆびさきと恋々』の森下suu氏によるトークショー&サイン会も開催。


漫画を「読む」から「体験する」へ

Kodansha House は、漫画を読むものから体験するものに変える新しい空間。
アートギャラリーのようで、テーマパークのようでもあり、
そしてなにより日本の創造力が世界を動かしていることを誇らしく思える場所でした。



漫画は、もはや日本のサブカルチャーではなく、世界共通のカルチャーと言える存在へ。
その変化をリアルに感じられる場所が、Kodansha Houseでした。皆さんもぜひ、足を運んでみてください。

📍KODANSHA HOUSE 特設サイト
https://www.kodanshahouse.com/

10/01/2025

Field Note #1 Museum of the City of New York

このブログを読んでくださっている皆さん!!!

ニューヨークの街の歴史について、改めて考えたことはありますか?

きっと多くの人が、映画を通してニューヨークの姿を思い浮かべるのではないでしょうか。タイムズスクエアのまばゆいネオン、セントラルパークの豊かな緑、摩天楼を背景にした印象的なワンシーン…。スクリーンの中のニューヨークは、時に華やかに、時に荒々しく、そして時に理想化されて描かれてきました。

ちなみに、私のお気に入りのニューヨークの映画シーンは、『ティファニーで朝食を』でオードリー・ヘプバーンがティファニー本店の前でクロワッサンをかじるあの名場面です。
皆さんはどんなニューヨークのシーンが心に残っていますか?


私たちは、「Field Note」という社内プロジェクトを立ち上げました。Field Note は、ニューヨークに根ざした文化・アートを通じて、新しい価値や視点を見出し、それを事業やブランド表現へと還元することを目的とする社内プロジェクトです。

この活動を通じて、ニューヨークの文化やアート、日常の物語にもっと深く触れ、その気づきや学びをこのブログを読んでくださる皆さまと共有していきたいと思っています

その第一弾として訪れたのが、Museum of the City of New York(ニューヨーク市立博物館) の企画展「You Are Here」。(詳細はここから確認できます。)この美術館はゴシップガールの撮影場所にもなっています。ニューヨークに暮らす日本人として、まずはこの街の歴史をミュージアムを通じて体感することが大切だと思い、この場所に訪れてみました。





展示室に入ると圧巻。16面の巨大スクリーンに映し出されるのは、過去100年にわたる映画の名シーン。ハリウッドの大作からインディーズ映画、ドキュメンタリーや実験映像まで、あらゆる作品が並びます。『ホーム・アローン』や『プラダを着た悪魔』、『エルフ』、『ゴッドファーザー』などの名作も登場し、思わず「あ、このシーン知ってる!」と声を上げたくなるほど。映画の中で何度も描かれてきたニューヨークが、祝福され、皮肉られ、再構築されてきたことを改めて実感しました。

この、ブルックリンブリッジのシーンとかも映し出されていました!



プラザホテルはたくさん映画撮影に使われてるのでニューヨークといえばプラザホテルっていう人も多いと思います。

このような感じでスクリーンにさまざまなニューヨークのシーンが映し出されていました。見応えがあり、思わずスクリーンに釘付けになってしまいました。インスタでは動画を載せてる予定なのでぜひチェックしてみてください。(弊社のインスタはここからcheck)




この美術館の魅力は「You Are Here」だけにとどまりません。実はまだそこまで知られていないのか、訪れたときは驚くほどゆったり見て回ることができました。

なかでも印象的だったのが、「Above Ground」展。


1970年代のニューヨークのストリートから生まれたグラフィティ文化を掘り下げた展示です。当時のニューヨークは財政危機や犯罪率の高さから「危険な街」と言われていましたが、だからこそ若者たちは街中をキャンバスにし、自分の存在を強烈に刻み込もうとしました。地下鉄の車両やビルの壁にスプレーで描かれた文字やイラストは、ただの落書きではなく、「ここに自分がいる」という叫びだったのです。


Rammellzee, Atomic Note, 1986


Lee Quiñones, Breakfast at Baychester, c. 1980


Stanley (Stan 153) Pratt, Stan 153, 1985.

展示には、Rammellzee のカラフルで爆発的な作品、Lee Quiñones が描いたリアルな地下鉄アート、Stan 153 のコミック的でストーリーを感じさせる作品など、伝説的なアーティストたちの作品が並んでいます。




 Crash, Broken Wings, 1990

Broken Wings は、ブロンクス出身で今や伝説的存在となったアーティスト John Crash Matosによって1990年に制作されました。スプレーペイント、アクリル、木材をキャンバスに組み合わせて表現されています。



Futura, Untitled, 1983.

常に進化を続ける先駆的グラフィティアーティスト、Futura によるUntitledは、アクリルとスプレーペイントをキャンバスに使用した作品。


彼らは当初違法のレッテルを貼られていたにもかかわらず、その才能と情熱が評価され、やがて美術館やギャラリーで作品を発表するようになりました。ストリートからハイアートへ、その過程自体がニューヨークという街のダイナミズムを体現しています。

面白いのは、この展示のスポンサーがユニクロUSAだということ。日本発のファッションブランドが、ニューヨークのストリート文化を支える側にまわるなんて、ちょっと胸が熱くなりませんか?


見るだけではなく、実際にグラフィティ文字を書いてみる体験コーナーも用意されていました。スクリーンにはグラフィティの文字の描き方が映像で流れ、そのステップを参考にしながら、白い紙に自分なりの文字を描けるようになっています。
私たちも思わず挑戦してしまい、完成した紙は壁に飾ることができました。当時の若者たちがどんな気持ちで壁にスプレーを吹き付けていたのか、ほんの少し体感できた気がしました。


ちなみに、このコレクションの多くはアーティスト Martin Wong が30年以上前に寄贈したもので、The New York Times から「必見の展示」と評されているそうです。

ちなみに、皆さんはMartin Wongを知ってますか?


Martin Wong (1946–1999) は、中国系アメリカ人の画家で、ニューヨーク・ロウアーイーストサイドのアートシーンで活躍しました。彼はストリートアートやグラフィティの黎明期からその価値を見抜き、当時まだ「落書き」としか見なされていなかった作品を積極的に収集。結果的に、今では貴重な文化的アーカイブとなりました。

彼自身も画家として、都市の建物や壁、消防士やラテン系移民をモチーフにした独特の作品を描き、ニューヨークの「見えない歴史」を表現し続けました。彼のまなざしがなければ、ストリートアートの多くは失われていたかもしれません。

グラフィティは今でこそストリートファッションや広告デザインにまで影響を与えていますが、こうして原点を知ると「ただの落書き」ではなく、世界のカルチャーを動かしたパワーだったんだと実感できます。

映画に描かれたニューヨーク、ストリートから生まれたアート、そしてそれを支えた人々Museum of the City of New York は、この街の過去と今をつなぐ場所でした。

皆さんにとってニューヨークらしい瞬間とは何でしょうか?

ぜひコメントで教えていただけたら嬉しいです!