6/19/2026

Field Note#8: Tom Sachs - Furniture Exhibition


In this Field Note#8, we visited Tom Sachs’ Furniture Exhibition at Salon 94 in New York!

今回のField Noteでは、Salon 94で開催されていたTom SachsのFurniture Exhibitionへ行ってきました!


The exhibition was spread across three floors and offered an experience of Tom Sachs’ approach to making, through furniture, ceramics, and sculptural objects. 

展示は3フロアにわたって構成されており、家具や陶芸作品を通して、Tom Sachsらしいものづくりの思想を体感できる空間となっていました。



My first impression entering the gallery was the relationship between the artworks and the space itself.


会場に足を踏み入れてまず印象的だったのは、展示されている作品と空間との関係性でした。


Salon 94 is a very clean, minimal gallery space, almost like a white cube, where everything is stripped down so that the works can stand on their own. In contrast, Tom Sachs’ pieces carry a strong sense of materiality and process. You can clearly see the traces of making: exposed joints, rough textures, and visible construction details.


Salon 94のギャラリー空間は静かでミニマルに整えられており、作品以外の要素を極力排除したような雰囲気があります。一方で、Tom Sachsの作品には木材や金属の素材感、ネジや接合部などの制作の痕跡が色濃く残されていました。





The NASA-themed ceramic works and the raw, these furniture pieces felt like they could just as easily belong in a workshop or garage but placed inside this refined gallery space, they created a strong and very intentional contrast, which actually made both the works and the space feel more present. 


NASAをモチーフにした陶芸作品や無骨な家具たち。本来であれば工房やガレージのような場所に置かれていても違和感なさそうな作品が、洗練されたギャラリー空間に展示されることで、作品の荒々しさやユーモアがより際立ち、心地よいコントラストを生み出していました。




I realized I wasn’t just looking at furniture as finished objects. It felt more like observing how furniture is constructed from the inside out in the exhibition.

展示を見ながら感じたのは、家具を見ているというよりも、家具の構造や制作過程を観察しているような感覚でした。


Almost as if I was seeing what would happen if you deconstructed a piece of furniture and rebuilt it again from its structure alone. The works revealed something usually hidden, the internal logic of how things are made.

完成された家具というより、「もし家具を一度解体し、その構造だけを残した状態から再び組み立てたらどうなるだろう」という思考実験を見ているようでもあります。


ネジや接合部、素材の加工跡がそのまま残されていることで、普段は意識することのない家具の内部構造が可視化されているように感じられました。



You don’t usually see what’s inside everyday objects, but once you do, you start to notice the system behind the surface, the components, the logic, the design decisions. Tom Sachs’ furniture has a kind of humor in how it exposes the process and structure behind the finished object.

私たちは普段、完成された製品しか目にすることがありません。しかし、その内部にはさまざまな部品や構造、設計思想が存在しています。Tom Sachsの家具には、「完成品の裏側」をあえて見せるような面白さがありました。


On the third floor, there was a series of chairs with identical forms displayed together. At first glance, they looked the same, but each one used different materials and colors.

特に印象的だったのは3階の展示です。

そこには同じフォルムの椅子が複数並べられていました。一見すると同じ作品に見えますが、よく見ると素材や色がそれぞれ異なっています。


Even though the shape was consistent, the atmosphere changed completely depending on the material.


Some felt more industrial and cold, while others had a warmer, more sculptural presence. It made me realize how much material alone can shift the identity of an object.

The same design can feel like entirely different pieces just by changing surface and material choices.

形状は共通しているにもかかわらず、素材が変わるだけで受ける印象は大きく変化します。

ある椅子は工業製品のような無機質さを感じさせる一方で、別の椅子からは手仕事の温かみや彫刻作品のような存在感が伝わってきました。

普段は家具を見るときに形や機能へ目が向きがちですが、この展示では素材そのものが持つ個性や、それが空間に与える影響について改めて考えさせられました。


同じ設計から生まれた家具であっても、素材や色によってこれほど異なる表情を見せる。その発見も今回の展示の大きな魅力の一つだったように思います。







On the second floor, there was a different exhibition titled “Phases” by Sabine Marcelis.


Compared to Tom Sachs’ work, this space was focused on light, color, and perception. The works shifted depending on the angle and lighting, creating subtle changes in atmosphere throughout the space.


また、2階ではデザイナーのSabine Marcelisによる「Phases」が開催されていました。


Tom Sachsの展示が素材や構造、制作の痕跡を強く意識させるものだったのに対し、こちらは光や色、反射といった目に見えにくい現象そのものを作品として扱っているような展示でした。

透明感のある作品は、見る角度や光の当たり方によって表情を変え、空間そのものを変化させていきます。


While I was looking at Tom Sachs’ pieces, I kept thinking “how is this made?” But in front of Sabine Marcelis’ work, I found myself thinking “why does this look the way it does?”

Tom Sachsの作品を見ながら「どう作られているのだろう」と考えていたのに対し、Sabine Marcelisの作品の前では「なぜこう見えるのだろう」と考えている自分がいました。



Within the same building, one floor was about construction and material, while another was about perception and light. That contrast made the overall experience even more interesting.


同じ建物の中で、片方は素材や構造へ、もう片方は光や知覚へと意識を向けさせる展示になっており、その対比も非常に印象的でした。


In the end, what stayed with me was not simply the feeling of seeing “beautiful furniture,” but rather the sense that I had seen the system behind how things are made.


Being able to experience both Tom Sachs’ “structure” and Sabine Marcelis’ “perception” in the same building made this visit especially memorable.


展示を見終わったあとに残ったのは、「良い家具を見た」という感覚というよりむしろ、家具やプロダクトがどのように作られ、どのような思想のもとに存在しているのか。その仕組みそのものを見たような感覚でした。


同じ空間で、Tom Sachsによる「構造」と、Sabine Marcelisによる「知覚」という異なる視点を体験できたことも含め、非常に印象に残る展示でした。



Stay tuned for the next Field Note!

次回のField Noteもお楽しみに!


5/28/2026

Field Note#7: Audible Story House

今回のField Noteでは、Boweryで開催されていた「Audible Story House」に行ってきました!



“本のない本屋”というコンセプトで構成されたこの空間は、従来の書店のように本が並ぶのではなく、「音」を通してストーリーと出会うための場所としてデザインされていました。



入ってまず印象的だったのは、落ち着きのある空間でした。


心地よいソファや植物が効果的に配置されており、視覚的にもリラックスできる空間がつくられていて、単なる展示空間というよりも、長く滞在できるラウンジのような印象を受けました。




その中で、体験の中心となっていたのが“音”へのアクセス方法でした。


本の代わりに並んでいるのは、表紙ビジュアルが透明なブロックに貼られたオブジェで、それを専用の機械の上に置くと音声コンテンツが再生される仕組みになっています。


非常にシンプルな仕組みでありながら、テクノロジーが自然に体験の中に溶け込んでいて、「操作している」という感覚よりも、「物語に触れている」という感覚に近い設計が印象的でした。




また、リスニング体験の形式も一つではなく、複数ありました。


ヘッドホンを使って集中して聴くスペースもあれば、ボックス型のリスニングブースでは、上部のスピーカーから音声が流れ始め、まるでその場に人が存在して実際に語りかけているような没入感が生まれていました。




音が前方からだけでなく、空間全体から立ち上がるように感じられることで、単なる“再生された音”ではなく、“そこにある会話”として体験されるのが新鮮でした。


さらに、音響面ではDolby Atmosのような立体音響や、SONYのスピーカー・ヘッドホンといった高品質なオーディオデバイスが活用されており、「音で聞くこと」そのものに対して強いこだわりが感じられました。


また、空間全体にはラウンジエリアも設けられており、バーカウンターをイメージとして作られた場所やカフェがあり、訪れた人が滞在しながら音や会話を楽しめる構成になっていました。


特に、バーカウンターではお酒のボトルの代わりに壁に透明ブロックのオブジェが並んでいて、バーテンダーとライブラリアンを掛け合わせたようなコンセプトのスタッフが常駐していました。


その方が、バーカウンターに訪れた人に合わせて本を選んでくれるというサービスも行われており、その発想自体がこの空間らしさを象徴しているように感じました。


ニューヨークのカルチャーらしいオープンな空気感と、Audibleの知的な世界観が自然に共存している点も特徴的でした。


“読む”という行為を「音へと再構築する」ことで、情報の受け取り方そのものを再定義している空間だったように感じます。

日常の中であえて音だけに集中する時間をつくることの豊かさを、改めて体験できる場所でした。


次回のField Noteもお楽しみに!

 

4/23/2026

Filed Note#6 reSOUND New York

今回のField Noteでは、没入型の体験ができるエキシビション「reSOUND New York」に行ってきました!

2025年10月にオープンした今注目の没入型空間を体験してきました。


まず、reSOUND New Yorkはロックフェラーセンター地下のHEROで開催されているエキシビションです。光、音、触覚、そして空間演出を組み合わせて構成されており、

鑑賞するというより、”体験する”展示といった印象でした。


reSOUNDは、ソウル発のメディアアートスタジオd’strictによってディレクションされています。近年では、WAVE(江南の巨大波)やWaterfallで有名な没入型アートのトップランナー的存在として、世界で活躍している会社です。

もともとreSOUNDは2024年にソウルで初開催され、2025年にグローバルツアーとしてNYで展開されています。


展示は以下の各ステージで構成されており、単なる映像展示ではなく、空間そのものが作品になっているのがポイントです。

  • OCEAN

  • TRANSITO

  • BOUNDLESS

  • ECHO

  • FLOW


では各ステージ空間の中を少し紹介します!


ロックフェラーセンター下のHEROで開催中



OCEAN

中に入ると、壁全面にパノラマ映像が広がっていました。暗い波と音が空間を包み込み、これから始まる体験の導入として印象的なステージです。なお、この空間はどなたでも入場可能とのことでした。






TRANSITO

光による演出で、無数の光の柱が変化しながら空間を形成していました。繊細な音とともに、どこまでも続いていくような感覚になるのも面白いポイント。


BOUNDLESS

ここでは音を身体で体感できる空間が広がっていました。一面に毛のような素材で覆われた壁は、触れると音が出る仕組みになっていて、触れる場所によって音が変化します。複数人で触れると、まるで楽器のように音を奏でているような体験が楽しめました。



さらに進むと、ベンチと天井から吊るされたヘッドフォンが設置されており、それを装着して座ると。。。なんとヘッドフォンから流れる音が椅子から振動として伝わってくる!まるで音を”身体で感じている”ような不思議な感覚でした。





さらに奥には、鏡に囲まれた空間が広がっており、苔のような柔らかいフォルムのオブジェが展示されていました。どこまでも続いていくようなその空間の中で、苔の柔らかさとともに、自分と空間の境界が少しずつ溶けていくような感覚になりました。


触って体感


ECHO

この空間では、ブラックホールのデータを音に変換したサウンドが8方向から流れる構成になっていて、光と音に包まれるような体験ができました。MITの天体物理学者とのコラボで製作されていて、エネルギーの動きや、空間や時間がゆがむ感覚を体感できるのが印象的でした。これは実際に訪れて体感していただきたい空間です!


次の空間へ進む途中には、ラウンジスペースが設けられていました。ここでは、韓国のアーティストの作品やブルックリンを拠点とするアーティストの家具が並び、ローカルと韓国の要素がミックスされた空間が広がっていました。

バーカウンターやフォトブースが設置されており、イベント開催時にはドリンクが提供される場所として使われるようです。





FLOW

正面の壁と天井にLED映像が広がる空間で、床にはクッションが設置されており、寝転びながら自由に映像を楽しむことができます。

映像は美術史の要素を身体表現として再解釈しており、ダンスやリズム、音とともに空間が変化していきます。立体的な音響とLEDの空間演出によって、まさに没入感を味わえるステージでした!







私が印象に残ったのは、FLOWです。まさに”没入型”という言葉がぴったりで、作品の中に自分が入り込んだような感覚を強く感じました。

reSOUNDは、ただ見るだけの展示ではなく、自分自身が空間の一部になるような体験ができる場所でした。ニューヨークの中心にいながら、少し現実から離れた感覚を味わえるのも魅力的です。

現時点で、2026年10月31日までの開催が予定されています。気になる方は、ぜひこの没入感を体験しに行ってみてください!


次回もお楽しみに!




3/31/2026

Field Note #5 : NYC Affordable Art Fair 2026


今回のField Noteでは、NYCのチェルシー地区で開催された「Affordable Art Fair NYC Spring 2026」に行ってきました。今回は、ファッションのフィールドで働く私たちの視点から、このエネルギッシュなイベントの様子をレポートします。

 


今回の会場は、ウエストチェルシーの象徴的な建築物スタレット・リーハイ・ビルディング(Starrett-Lehigh Building)。実はここ、Ralph LaurenTommy Hilfigerといった世界的ブランドが過去にヘッドクォーターを置いていた建物で、ニューヨーク・ファッション・ウィーク(NYFW)の公式会場にもなる、NYファッションにおける重要ポイントなんです。巨大な貨物エレベーターがそのままオフィスやスタジオに繋がるこのビルは、かつての物流拠点としての無骨さと、現代の洗練されたクリエイティビティが同居するユニークな空間。そんな場所で、100ドルから12,000ドルという「手の届く」価格のアートが数千点も並ぶのが今回のイベント。アートをより身近に、そして民主的に楽しもうというNYCらしい自由な空気感に包まれていました。

(Image borrowed from Wikipedia)

 

会場を歩いていて特に足を止めたのが、Fremin Galleryのブースです。Fremin Gallery は、2007年にEmmanuel Fremin(エマニュエル・フレミン)によって創設されたNYのギャラリー。創設者のエマニュエルはもともと世界的に活躍したトップモデルという異色の経歴で、モデル時代に培った鋭い視覚的感性を活かし、現在では世界中の新進気鋭から中堅のアーティストを代表するギャラリーへと成長しています。

 

このギャラリーの作品の中でも、ベルギー出身のアーティスト、Didier Engels(ディディエ・エンゲルス)による「Ruby Pulse」が、特に私たちの興味を惹きました。この作品は、世界中の港で見かける巨大な輸送コンテナを撮影し、それらをコラージュして構成されたもの。整然と積み上げられたコンテナの色彩と幾何学的なパターンが、まるで脈動(Pulse)するかのようなリズムを生み出しています。物流用コンテナという極めて無機質な対象を、美しく、グラフィカルなアートへと昇華させる視点には驚かされました。特に日々ロジスティクスに携わる私たちにとって、この作品が切り取った物流の美は、日々の仕事をより魅力的にするような、そんなパワーを感じました。



 

ポップで遊び心溢れる作品で注目を集めていたのが、Dan Life(ダン・ライフ)。彼の「Crystals and clay on existing magazine cover」シリーズは、まさに今の時代を象徴するようなアイコン的な魅力がありました。既存のファッション誌やカルチャー誌の表紙をベースに、シンプソンズや草間弥生、オードリーヘップバーンなどの様々なカルチャーを代表するイメージがクリスタルや粘土を用いて立体的にデコレーションされた作品は、ラグジュアリーとストリート、ポップカルチャー、そしてノスタルジーが絶妙にミックスされています。雑誌という平面のメディアを、「一点物の宝物」へと変貌させるアイデアが光ります。


 

現在のNYCのシーンでは、アートとファッションがますます密接に隣り合っています。単に「飾るもの」ではなく、ライフスタイルや自己表現の一部として捉えられてきているアート。ファッションでも同じことが言え、特に、Didier Engelsの作品に見られるような「インダストリアルな美」や、Dan Lifeの作品に見られる「ポップな装飾性」は、ファッションデザインにおいても重要なキーワードです。機能性と装飾性、日常と非日常、そしてアートとファッション。これらの一見して相反する要素が交差するイベント「Affordable Art Fair」は、アート初心者からコレクターまで、誰もが自分の「好き」を直感で見つけられる素晴らしい場所でした。私たちも、ここで得た色彩感覚や自由な発想を活かしていきたいと思います。


  

 

Affordable Art Fairは全米各地のほか、イギリス、ベルギー、シドニー、香港など、様々な国と地域で開催しています。

皆さんも次の機会に、ぜひ自分だけのAffordableなアートを探しに足を運んでみてください!